[2013/08/26]
先日国内の大手化粧品メーカーが美白化粧品のリコールを発表した。これらの製品は美白美容への関心が高いアジアへも多く輸出されており、リコールの対象は台湾をはじめ、タイ、韓国、香港、シンガポール、フィリピン、ミャンマーなど多数の地域に及んだ。
多くの若年人口を抱え、経済発展とともに美容関連支出も増加しているASEAN諸国は、スキンケア/化粧品メーカーにとってますます有望な市場となっているが、その中でもタイは製販両面で中心的な存在となっている。タイには大小さまざまな化粧品メーカーがあり、欧米や日本の大手化粧品ブランドに対しOEMやODM生産を行っているのに加え、独自ブランドを立ち上げてローカル市場のみならず世界市場への展開を狙うところが増えている。
近年、香料や化学物質によるアレルギーへの懸念から、自然派化粧品とかハーバル化粧品と呼ばれる天然素材を使った製品が、世界的に脚光を浴びている。タイはこれらに用いられる天然ハーブが豊富で、古来からの知識があることを生かし、スキンケアやヘアケア、ボディケアなどの製品を開発する動きが活発である。タイ政府が化粧品の研究開発に対し積極的な支援を行ってきたことも、こうした動きを後押ししている。ハーバル化粧品の市場の拡大で、タイの化粧品産業は堅調な成長を遂げている。
今のところタイブランドの化粧品は国内市場がその大部分を占めているが、ASEAN経済共同体の誕生で、大きなビジネスチャンスが広がっている。ASEAN化粧品指令に沿って化粧品関連の法規制が簡素化される見込みになっており、国ごとに異なる複雑な規制に個々に対応する必要がなくなる。タイの化粧品産業はその地理的メリットや優れた製品力で新市場に挑んでいくだろう。これを迎え撃つ日本や欧米のブランドも同地域をターゲットにした製品開発やマーケティングの強化に余念がない。市場の一層の拡大は見込めるものの、その反面競争も厳しくなっていくと思われる。
ガバレッジ国 | 141 ヶ国 |
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エキスパート国籍 | 138 ヶ国 |
対応言語 | 340 言語 |
エキスパート | 14,369 名 |
海外提携企業 | 421 社 |